大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)2404号 判決

競売手続開始の決定を為した不動産につき、さらに強制競売の申立があつたときは、重ねて開始決定を為すことを得ないが、この申立は執行記録に添付することに因つて、さきに開始した競売手続が取消と為つたときは開始決定を受けた効力従つて差押の効力を生ずることは、民事訴訟法第六百四十五条第二項の定めるところであり、この効力が生ずるのは右申立が記録に添付せられたときであつて(昭和七年一月二十日大審院決定)この場合競売申立の登記を改めてし直す必要なく、右添付の後当該不動産を取得した第三者は、取得当時右の添付の事実を知らなくても差押の効力に対しその善意を対抗することを得ないと解すべきである(昭和八年十月六日言渡大審院判決参照)。このように解するときは、後の競売の申立ならびにその添付を知らない第三取得者は、この競売申立の登記がないのにその差押の効力を対抗せられ不測の損害を受けることとなり、その保護に欠ける結果となるのは免れないが、さきの競売の申立は登記によつて知り得るのであるから、さらに進んでその後別の競売申立があつて記録に添付せられていることの有無を調査すれば、この損害を免れることができるのに反し、反対に解するときは、後に競売の申立を為した債権者は前示第六百四十五条第二項の規定の結果その申立を登記する方法なく、その後の第三取得者に対抗することができないこととなり、これを免れる途は全くないのであるから、かかる解釈は不当といわざるをえない。従つて、本件においても、昭和三十二年六月十一日強制競売の申立が為され、その申立がこれに先立つ競売事件の記録に添付せられた後、昭和三十二年十二月本訴物件を買受けた控訴人猪太郎ならびに同控訴人からさらに譲受けた控訴人宇めは、後の競売事件の競落人である被控訴人に対し、その所有権取得を対抗しえないのである。以上説明のとおりであつて、第三取得者が、後の競売申立がさきの執行記録に添付せられていることを調査しなかつたため不測の損害を被むることがあるからといつて、それは関係当事者の利益保護の比較考量の問題であつて、立法政策の問題というべく、従つて、民事訴訟法第六百四十五条第二項の規定が憲法第二十九条第一項に違反する無効のものであるとか、民事訴訟法第六百四十五条第二項を右のように解することが憲法に違反する不当の解釈であるなどということはできない。

(薄根 村木 元岡)

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